天麩羅(画像は銀宝➯ぎんぽう、江戸前天ぷら代名詞的存在です)
料理教室の団体レッスン、マンツーマンレッスンで一番ご要望が多かったのが天ぷらです。
寿司で有名な職人さんも仰ってましたが、「天ぷらは寿司より難しいから面白い」というくらい決まりが無いので難しくこれだ!というレシピはありません。が、しかし最大限分かり易く、失敗しない、美味しい天ぷらの造り方をお伝えさせて頂きます。
やはり、これも重量で計った方が上手くいきます。
(容量で計るのはある意味目分量になるから)
ポイントは、
◦粉振るって冷やすこと、水は冷蔵庫で冷えたくらいの水の方がやりやすい事、卵も冷蔵庫から出したばかりのモノが良く、出来れば天ぷら衣を作るボールも冷やしておくこと(もしくは、ボールや鍋に氷水を作り、その上に沈まない様な大きさの重なるボールを置く)
◦多少だまになっても混ぜ過ぎない。油は弱火で徐々に温める事です。
天ぷら
レシピは重さの比率です。
薄力粉4~4.5:冷水11~12:全卵1個の割合になります。
(仮に全卵1/3個分=約20g、使用すると冷水220g~240g、この全卵と冷水をよく混ぜ合わせたものを(卵水)1/2量使うとすると薄力粉は40g~45gとなります。季節により湿度が違うのでこの範囲で感覚をつかんで、計量しないで感覚でやってみて下さい。
◦衣だけ揚げてみて揚げ玉を息を吹きかけ冷まし食べてみてサクッとしていたら良い配分の衣、フワフワしていたら薄力粉の配分が多く少し重たくなっているので全卵と冷水を混ぜた卵水を少し加え揚げるとサクッとします、逆にガリガリし過ぎていたら卵の配分量が少ないのでホンの少し溶いて残った卵液を足せば上手く揚がります。=要はどちらかと言えば、サラサラとした軽い衣で、且つ適温もしくは気持ち高めの温度で揚げるとサクッとし易いです。温度が低いとサクッとはし難い)
1⃣ 天ぷらの種になるもの切りモノや魚の下処理をして冷蔵庫で冷やしておきます。
2⃣ 揚げ物をあげるバットやお皿などを用意して天紙(無ければ、キッチンペーパー)を敷いて準備します。
3⃣ 天つゆを作ります。醤油(できれば薄口醤油)0.8:みりん0.8:出汁6の割合で鍋に入れ火にかけ沸かす直前で火を止め蓋の出来る陶器に移し蓋をしておきます。
4⃣ 熱に強い油を(コメ油、ゴマ油、オリーブオイルなど)極力弱火にかけゆっくりと温めます。
5⃣ 冷やしておいたボールに卵を割り入れ、 ホイッパーで良く解きほぐし (全卵1個分はご家庭では多すぎるので1/4~1/3個で十分だと思います)、冷水を加えてさらに溶き混ぜ、半分くらいを別のボールなどに入れ、冷蔵庫で冷やして取っておき、残った卵水に薄力粉を茶こしなどで振るいながら大きくゆっくりとホイッパーで混ぜ、8割くらい粉を加えたところで粉を振るいながら今度はホイッパーで軽く衣を叩くように混ぜます。(決してぐるぐるとかき混ぜない事)
6⃣ 天ぷらの種になる野菜や魚を揚げるものだけ出して、ツルツルとした野菜の表面に薄力粉を良くつけ、叩いてよく払い、油の温度を中火にして180℃くらいにして、衣をつけて少しづつ揚げていきます。(種を入れたところの温度は下がっているので、同じところには種を放り込まない事)
7⃣ お箸で触ってサクッとしている感じになって、種に火が入って油の泡が細かくなってきたら油から上げ天紙に乗せ油を切って、お皿に盛り付ける。
8⃣ 塩や天つを添える。
注:残った卵水は衣を作り足すときや衣が重たくて、揚げ上りがサクッとしない時などに足すと良い。
ナスやエリンギなどは隠し包丁(噛みきりにくい皮や繊維に切り込みを入れておくこと)をしておくと食べ易く、美味しさも感じやすい。
衣をつけて油に投入した直後にあまりに激しくパチパチなりすぎるのは衣の状態が良くない印です。
上手く出来ている衣は、油に入れた瞬間、シュワ-っと穏やかな心地よい音になります。
また、連続で投入してシュワ-っと音が鳴らない時は温度が下がりすぎているので少し間をとり、温度が上がったら再度揚げはじめます。
さらに、同じ油で揚げ続けていると劣化して、油の粘度が上がりキレイに油切れ出来ずべちゃっとして不味く、健康に良くない天ぷらになります。
なので、ある程度揚げたら、油を安全で耐熱性があって大き目の持ちやすい入れ物に入れ最後にまとめて固めたりして処分して下さい。
細かく書き過ぎているので面倒臭く思われる方もいらっしゃると思います。が、失敗して「あ~上手くいかなかった」とか火傷したりするなど大けがして美味しくない天ぷらを食べるより、一度成功体験して、得意料理にしていただければ幸いという思いで書き留めました。
料理は段取りと順番がとても大切ですので、このレシピの段取りを感覚的に取り入れ、他のお料理にも適応させてみて下さい。