出汁
◦画像は昆布を入れた鍋を火にかけた60℃~65℃の状態
美味しい出汁をひく(出汁をとる事)ために!
出汁には、昆布だし、混合だし、鰹だし、いりこ出汁、野菜だし、鶏、豚、牛のスジや骨でとる出汁などがあります。
どの出汁も元の食材の質が重要となりますが、鶏や、豚、牛などは腐敗するという知識があるので、皆さん冷蔵保存などをされていると思います。
問題は、鰹節や混合節、煮干しなどを保存するときです。
これらは、冷凍保存が望ましい。冷凍していないと、ただでさえ削り節にして空気に触れる面が増えるので酸化が進みます、更に酸化して元の魚の成分、油脂分などが酸化して生臭い、油粘土の様なニオイが発生してしまいます。
そして、水ですが軟水であれば有るほど出汁が抽出できます。
この根拠としては、以前フランスに滞在している際に天ぷらを振舞う機会があり、そこで天丼、天茶、天つゆのための出汁をひいてみたのですが、その地は硬水の中でもかなり硬い水道水で、水の中にいくら鰹節の量を増やしても、長い時間火にかけて煮出しても、薄っすらとしか味が出ず、その後、軽井沢で出汁をひいた時にも、同じくほとんど旨味が出ず、調味料で援護してました。
この時に、硬水では旨味を抽出しにくいと確信になりました。
なので、美味しい出汁をひくには、
これらを踏まえ、僕の出汁の引き方(混合節使用)
分量
❍水2L
❍昆布10g(昆布の種類と適用はこちらクリック!)
❍混合節厚削り(宗田鰹、鯖、鰹など)50g
❍花かつお(無論、本枯れ節をその場で使う分だけを削ったものの方が理想)50g
※本枯れ節とは燻して乾燥させたもの (花かつお)にカビ付けをして磨きを繰り返してアミノ酸を増やした鰹節。
まず、昆布だし
一、昆布を乾いた布巾で拭く。(昆布を採って天日干しする際、浜の石の上で乾燥させているため。最近は機械乾燥もありますが。)
二、鍋に水と昆布を入れ中強火にかける。
三、鍋の周りに薄っすらと小さな泡が出始めたら、 極弱火にして60~65℃を保ち45分ほど旨味を抽出する。
最後に昆布を取り出す。
(前日から昆布を水に浸けて翌日中火にかけて80℃くらいになったら昆布を取り出して昆布出汁をひいても出来ますが、上記の取り方よりも旨味は少ない)
と、ここまでが昆布だし。
ここから合わせ出汁(混合出汁)
一、ここに、混合節の厚削りを加え、中弱火でふんわりと お湯の対流がするように15分ほど灰汁を取りながら旨味を抽出します。
二、15分したら、花かつおを入れ菜箸さいばしなどでサッと泳がせたらすぐにネル生地や出汁こし袋で漉こします。 (すぐに漉すのは香りを大切にしたいから。また漉すときにネルではなく、晒でも良いが、若干細かな鰹節の粉が漉した出汁に入り込みます)
これを一番出汁という。使う用途は何でもOK。(京風のお吸い物の様にするには少し香りと味が濃すぎるかも知れませんが)
ここまでが一番出汁。
そして、ここから二番出汁
一、漉した出汁ガラ(厚削りと花かつお)を再度鍋に戻し、水をひたひたに注ぎ、中強火で火にかけ、しっかり沸いたら、 違う入れ物に漉し入れる、これを二番出汁といい、煮物などに使う。 (この時花かつおを一握り再度投入すると使い道も増える。この二番出汁と一番出汁を混ぜて置いてもよい。二番出汁の使う 用途があれば無論別々にとり置いた方が良い)
(注)この鰹節や混合節でひいた出汁は、「足が速い」(腐りやすい、いたみやすい)ので急冷して冷蔵保存するか、小分けにして冷凍保存が望ましい。(いたんだ時の特徴として少し油粘土の様なニオイが出て、沸かした時に変なニオイがするのと泡が立ちます、それがサインです)
ちなみに、昆布出汁は、きれいな熱湯殺菌などした容器に移せば冷蔵庫で一週間くらいは十分に持ちます。
仮に冷凍保存して鰹節の香りが足りないと感じた時は、冷凍した出汁を一度沸かしそこに花かつおや本枯れ節の削ったものを加えてすぐに漉すと美味しいお出汁になります。
この混合節で引いた出汁は非常にコク、旨味、香りが強いので天つゆ、蕎麦つゆ、旨煮などには使い勝手が良いです。
要注意
尚、漉すときに使用したネル生地や晒は、絶対に洗剤などで洗わないでください、洗剤はなかなか落ちません、次に漉した時に出汁に入ってしまうので。(洗剤=界面活性剤)
洗う時には、鍋に水と重曹を入れ一度沸かし火を止め、ここにクエン酸を入れて菜箸などでかき回し、最後に何度か真水で、もみ洗いしてすぐに干して乾かせば、ほぼ腐ったりカビたりしません。
また、晒を使用する場合は、四隅が加工してあるものの方が切ったりすることなく、ほつれて糸くずが出たりせず使いやすいのでおススメ。商品名⇒極上食品用さらし(説明書きに、「匠の技を活かす」と書かれたもの)50㎝×32㎝15枚入り